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18/05/2012

36協定

今朝の東京新聞朝刊の一面に「ワタミ」の36協定に関する記事が出ていた。

人事労務担当者や、法学部出身者以外には聞き慣れない言葉かもしれないが、会社が社員に残業をさせるために必須な組合(ないしは従業員代表)との間の協定で、労基法36条に定められていることから、一般に36(サブロク)協定と称される。(法は原則として残業を禁じていて、一種の例外規定として36協定を置いているんですよ。)

ワタミの事件は、長時間労働による「うつ」により自殺した元社員の労災認定に関するものであるが、月間120時間までの残業を認める当該店舗の36協定が、正規に選ばれた従業員代表との間で締結されていなかった、というもの。(仮に、この36協定が有効であったとして、そもそも120時間/月の残業を認めるというのは如何なものか。)

本来、従業員代表は従業員の過半数を以て選出された者でなければならないのだが、ワタミの場合、適当に古参社員を指名し、36協定に署名させ、労基署に提出していた。

このニュースを聴いて、ワタミのような大手でも、そんなんなのか?と思われる程、皆さんはnaiveでないと思う。

実際、労働組合のない日本の会社で、従業員代表を正しく選任しているのは、恐らく2割に満たないであろう。

人事担当として8つの外資系企業(かなりの有名企業を含む。)を渡り歩いたボクの知人は、一度たりとて、正当な手段で選出された従業員代表と36協定を結んだことはない、と豪語していたが、まぁそんなもんだろう。

問題点は2つある。 一つは日本の経営者が(御用組合でない)労働組合の存在を酷く毛嫌いしていることだ。正当な手段で従業員代表を選出するプロセス自体が、組合組織化のきっかけに成りうるので、真っ当な人事労務政策をとっていない経営者にとっては大変な脅威となる。この傾向は所謂外資系において顕著で、労働法の判例集など見ると外資系の絡むケースの比率が極めて高く、中身を読むと、まさに判例集にのせる「ため」にしたような労務政策が採られていて、時として笑える。本国では、きちんとした労務政策をとっているだろうに、日本に来ると社員が36協定とか、従業員代表とか言った労働基本権に関わる概念を知る事そのものが嫌なのだろう。

二つ目は、前にも書いた「世界の常識は日本の非常識」の一例:25%(一部法改正はされたが・・・)という残業手当の割増率の問題。(世界標準はtime & halfと言って50%増し) 25%と50%の差は、とてつもなく大きい。

大雑把な経済計算ではあるが、割増率25%なら現有社員に残業させた方が安上がり(サービス残業なら尚更)、50%だと増員した方が安上がりなのだ。 繰り返しになるが、残業の割増率を世界標準の50%に引き上げれば、仕事の質はあがるし、消費も増えるし、学生の就職率も上がるし、早く家に帰れば少子化対策にもなろう。

この際、厚労省は労働基準監督官を大増員して、従業員代表の選任状況を徹底的に査察すべきだと思うが、十三流官庁の悲哀で、そんなことできないんだろうな。

ところで本ブログを読んで頂いている皆さんの中で、組合のない会社にお勤めの方、従業員代表の選任に関わったことがありますか。若しなければ、人事担当にどうなっているのかお聞きになると良い。多くの場合、人事担当は顔を曇らすだろう。

最近、会社で使っている大手の人材派遣会社から36協定の内容の変更に関する通知を受けた。1日あたりの残業の上限が6時間から10時間に引き上げられていた。派遣の身分で1日10時間の残業かよ、と暗澹たる気持ちになった。(36協定に定める1日あたりの残業時間に上限はない。極端な話16時間だってOKなのである。それ以上は物理的に不可能な訳で・・・)

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