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07/05/2012

「国のまほろば」も変貌を遂げつつある-1

P5031839 GWは、近所にサイクリングに行ったり、実家でうだうだしたりして過ごしたが、連休の谷間の1日から3日にかけて奈良ホテルの予約をとることができたので、実家から足を伸ばした。(上の写真は奈良ホテルのダイニングルームから見た興福寺の五重塔、横に建設中の中金堂のscaffolding?が見える。)

名古屋で生まれ育ったので、奈良行は(京都も)旅行というほど大袈裟なものではなく、日帰りでちょっと出かけてきます、といった程度の半ば習慣であった。中学に入ってからは、友人を誘って今はなき関西線のディーゼル急行(目的地によっては近鉄特急)で年に数回は、奈良に通ったものだ。

今でも、京都を素通りして奈良に向かうのは、(寺社の建物やお庭よりも)仏像好きということもあるが、やはり京都がビルに囲まれた大都会であるのに対し、奈良(及び、その周辺部)という1300年前に打ち捨てられた古の王城の地の儚げな風情に惹かれるからか。故に、この歳になって奈良に泊まりがけで出かけるようになっても、多少の不便を顧みず、錆びれた古都の面影を残す菊水楼や、奈良ホテルの本館を定宿としている。(↓は、奈良ホテル本館客室の照明器具)

P5031838 ところが、その奈良の地が、今、変貌を遂げつつある。最大の契機は、もちろん一昨年の遷都1300年記念事業だ。

同事業と相前後した奈良の変貌ぶりは、ボクが識るだけでも以下が挙げられる:

・平城京の整備/再興事業

・興福寺国宝館の改修

・興福寺中金堂(再興)工事着工

・一連の薬師寺の再興事業

そして今回の旅のmain destinationであった東大寺ミュージアムのオープンである。

東大寺ミュージアムは南大門から入ってすぐの左側に昨秋完成したばかりで、規模的には興福寺国宝館より二回りは小さいかな。現在は「奈良時代の東大寺」というオープニング企画展の最中で、法華堂の不空羂索観音菩薩と日光・月光両菩薩の三尊が主役である。

近時、鶏が啼くあずまの国に著名な御仏達が下向して来られる機会が多く、美術館や博物館の場で彼らに邂逅する機会がままあるのだが、永く彼らを見続けるボクは、多くの場合、強烈な違和感を覚える。

興福寺の阿修羅像などは、元々国宝館でしかご尊顔を拝したことがなかったので、博物館で鑑賞しても違和感を感じない希有な例であった。

一方、今回の三尊では大きな違和感を感じた。足の裏からしんしんと冷える真冬の法華堂の、空気の重さがずしりと感じられるような濃密な空間で対峙するのと比べれば、その違和感は視覚以前の問題ではある。(ちなみにボクは、奈良も京都も、そしてニューヨークも厳冬期がbest seasonだと思っている。)

殊に不空羂索さんは、補修のため光背を剥がれ、以前は堂守が懐中電灯で照らしながら説明してくれた宝冠も外された状態なので、違和感はなおさらだ。(宝冠は同ミュージアムに展示されていてケース越しながら30cmの距離、360°の方向から鑑賞できる。それ自体、感動的ではある。)同ミュージアムで見る素っ裸の不空羂索さんは、八臂という異形もあって、まるで上半身が極端に充実した競泳選手のように見える。法華堂時代は、多くの眷属に囲まれ下半身を見る事がなかったことが、この印象に繋がっているのだと思う。

日光・月光両尊も、眼前で十分な光量で見るとかなり彩色が残っている事が判るが、面持ちは以前の印象とは異なる。入江泰吉先生が、この状態で両像を視ることができていたなら、どんな写真を残していたのかと思う。

須弥壇の耐震工事が了われば、不空羂索さんは法華堂に戻るらしいが(今回、裏側から工事現場を見る事ができた。)、日光・月光を含む眷属が必ずしも法華堂に戻る訳ではないらしい。考証上、policticalliy correctな結論だと思うが、法華堂のあのくどい程の空気感を二度と味わうことがないのかと思うと、それなりに感慨は大きい。(この項続く。)

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